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7/20に始まった堂島リバービエンナーレに早速行って参りました。
休日であるということに加え,開始直後と言うこともあってか,結構な人の入りでした。

会場には,「Little Water」をテーマに集められた,様々な形態の作品が並びます。
物語を楽しむものから,純粋にその形状を楽しむものまで色々でしたが,
割と比較的わかりやすいものが多く,またパンフの解説も充実していたので,
身構えずに「安心して」楽しむことができました。

しかしながら,改めて感じたのですが,
キャッチーでストレートな作品には抗いがたい魅力があります。
場内の展示の中でもっともキャッチーかつポップだったのは,
八木良太の一連の作品群でしょう。
「Vinyl」は,「変容」を音と映像で表現するもので,
コンセプトもしかり,またヴィジュアル的にもわかりやすくストレートに面白いですし,
「机の下の海」はとにかく「不思議で楽しい」というエンターテイメント性に富んだ作品でした。
(会場に来ていた幼い女の子が,キャッキャッと楽しそうに立ったりしゃがんだりする様子は
見ていて微笑ましかったです。)

また,「ストレート」な作品としてはチームラボの「憑依する滝」も忘れてはいけません。
緻密な計算の元に描きだされた仮想空間の巨大な「滝」は,
超微細まで描かれるその映像自体の美しさと共に,
何よりもその大きさで見るものを圧倒します。
もちろん,作品の志向はそれ自体ある程度複雑なものなのですが,
小難しい思考を放棄して楽しむことで,
逆説的ではありますが,本作品の志向するコンセプト
(=「滝が憑依する」)に従った鑑賞が出来るのではないかと思います。

若干コンセプチュアルなものとしては,
アラヤー・ラートチャムルーンスックの「二つの惑星」がちょっとしたツボでした。
これは,ミレーの落ち穂拾い(のレプリカ?)を
タイの田舎の村に置いて,村人に好き勝手に色々と話してもらう,
という作品なのですが,文化相対主義や,価値相対主義,
解釈の自由性から,視点の多角性…等々様々に示唆的であるにもかかわらず,
それらの重くなりがちなテーマを,
「人間の好奇心」という非常にお茶目で軽やかな衣で包んでいるところに,
この作品の特異性が感じられました。

その他,石田尚志「海の壁」や,篠田太郎「銀河」などをはじめ,
ここに挙げなかった作品もいずれ劣らぬ力作が揃っています。
比較的狭い会場ながら,作品数は約40点に及んでおり,
ボリューム的にも丁度満足できるくらいの量がありました。
また,「順路」が設定されていない展示自体も,どこか不定形な水の広がりを思わせ,
とても興味深かったです。他のブログでも言及されていましたが,
二階から見る展示の風景それ自体が一つの作品のような美しさ,楽しさを秘めているような,
そんな素敵なものでした。

8/18までと期間が短いので,お早めに。