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国立国際美術館で行われている特別展「関西コレクションズ」に行って参りました。

関西所在の国公立美術館各館の4番打者クラス,
あるいは看板役者クラスが一堂に会するというこの企画。
何度も観たことがある作品もいくつもありましたが,
なかなか足を運べない和歌山県立美術館や,
滋賀県立美術館所蔵の作品も展示されるということだったので,
重い腰を上げて参戦してきました。

ただ,「4番打者」といっても,いわば「日本プロ野球の4番打者」。
(こういう言い方をするのが適切かどうか分かりませんが…)
「バリバリのメジャーリーガー」と言える作品は,
所蔵品としてはなかなか国内美術館には回ってこないという状況があるが故,
必然的に他の特別展に比して,目玉になるような派手な作品はありませんでした。
しかしながらそれでも,各館の所蔵の秀作が揃っており,結構な見応えがありましたよ。

オーソドックスな時系列型だったので,特に展示について付言することはありません。
「コンテンポラリー」と呼ばれるポイント以降の各時代を代表する作家の,
象徴的な作品ばかりが並んでいました。
個人的に嬉しかったのは,何と言ってもドナルド・ジャッドの作品。
最も好きな作家の一人ながら,作品の所蔵が和歌山県立美術館なので,
なかなか見ることができなかったのです。
いかにも「ジャッドらしい」工業製品と見まがうアルミニウムの物体は,
禁欲的でありながらその構成美故に魅惑的で,
展示の中でも一際異彩を放っていました。

また,国立・滋賀・和歌山の三館に所蔵されているロスコの絵画が,
ずらっと並べられているのも豪華でした。
(展示場所はそこを切り取ればプチロスコルームといった趣でした。)
個人的なお気に入りは,滋賀県美の「ナンバー28」。
ロスコ特有の幽玄な趣が最も端的に表れていると思われるからです。
この作品は,一度滋賀県美で現物を見ているので,嬉しい「再会」ということになりました。

他館の作品をホームで迎え撃つ国立美術館の作品も負けてはいません。
カンディンスキーやフォンタナは相変わらずですし,デュビュッフェ「愉快な夜」の破壊力も
なかなかのものがあります。
今回個人的にツボだったのはロイ・リキテンスタイン「日本の橋のある睡蓮」。
言わずもがな,モネのモチーフの引用ということになるのですが,
ポップアートの手法によって新たな地平の元に昇華された作品からは,
コンテンポラリーの代表的な作家の一人であるリキテンスタインによる,
近代の作家モネへの温かいリスペクトが感じられると同時に,
「オマージュ」という手法に,どこか俗っぽくてねじれたものも感じられ,
ああ如何にも「ポップ」だなあと,思わずニヤリとさせられました。

その他,バスキアやバーネット・ニューマン,フランク・ステラの作品なども好きでした。

冒頭に「メジャーリーガーと日本のプロ野球」という表現を用いましたが,
ある意味ではその表現は言い得て妙だと思っていて,
そこには,「欧米に比べて,元々環境的に決して恵まれていない日本の美術館が,
少ない戦力の中で知恵を絞って,なんとか奮闘している姿」が重なります。
本展覧会も,企画の趣旨からしてもまさにその「奮闘」の跡が透けて見えるかのようなもので,
個人的にはかなり満足することができました。
会期も残りわずかですが,機会があれば足を運ばれるのをオススメします。

それにしても,土曜日の昼間の特別展だというのに,人の入りはまばらでした。
作品に集中できたので,有難かったのは有難かったのですが,少し寂しくもありました。
改めて,日本における現代美術を巡る状況の厳しさを肌で感じた次第です。
「常設展会場をもっと賑やかにしたい」という,本特別展に込められた願いが叶えられる日は少し遠そうです。